2008年12月11日木曜日

髙橋節郎館-豊田市美術館に併設を鑑賞










漆芸家 髙橋節郎

1914年 長野県安曇野市に生まれる  2007年 没(享年92歳)
東京芸大教授 日本芸術院会員 文化勲章受賞等の経歴を持つ 漆芸家-高橋節郎記念館を鑑賞

館内は二階層に別れ3つの展示室に分かれていた。
鎗金の屏風や墨彩画、パネル等とピアノやハープ等の楽器に装飾を施した作品等、日本の装飾工芸の極致を感じました。
髙橋節郎氏の用いている漆装飾の技術を簡単に紹介します。










鎗金(そうきん)
日本でいう沈金(ちんきん)の中国での呼び名を高橋節郎氏は日本の伝統的な沈金技法にオリジナルな工夫をし
細かい線の表現を加え、金の濃淡や陰影の効果等の新しい表現を加味し従来の沈金とは趣の異なるものを生み出した。
あえて自分の独創的な技法を「鎗金」と呼び、中国の伝統的手法の鎗金と区別している。
漆を塗り重ねた面に刃物で絵や柄を彫刻し溝に漆を接着剤としてすり込んで、金箔や金粉を埋め、
漆が乾いたら、はみ出た余分な金を拭き取り刻線内の金だけを残すようにする。
すると、刃物で彫った線が金で表わされる。

螺鈿(らでん)夜光貝、蝶貝、あわび貝などの貝類、牙角類、べっこう、水晶、琥珀、その他宝石のようなものを、
漆を塗り重ねた面に貼ったり、はめ込んだりして装飾する事を言う。
貝などを切ったり薬品で腐食したりして、文様の形にする。
これを漆の面上に配し、文様の形の貝を面の上に貼り、その上からまた漆を塗り重ね、表面を平たんにしてから貝のある部分だけを砥ぎ出すと
面と貝の面が同じ高さになる(研出螺鈿、薄貝螺鈿)。
漆塗の面をあらかじめ貝の文様の形に合わせて掘り込んでおき、その中に貝を入れて接着する方法は、
厚みのある貝が地の面より高く出て、立体感のある仕上がりになる。(肉彫り螺鈿、厚貝象嵌)

蒔絵(まきえ)漆塗の面の上に漆でデザインをし、上から金粉や銀粉、色粉などを蒔いて、それらの粉を定着させて絵や柄を表わす方法。
奈良時代から、日本において最も発達を遂げた技法で、さまざまな手法がある。
金粉などを蒔きつけた上から、漆を何度も塗り重ね、その後金の絵や柄が現れてくるまで漆の面を平らに研ぎだす-研出蒔絵、
金粉が定着した上から金の文様が透ける程度に薄く漆を塗り、表面を磨いて仕上げる-平蒔絵、
漆で絵や柄を描く際に、漆や灰の粉などで高く盛り上げ、その上に金粉を蒔き、平蒔絵と同様に仕上げる-高蒔絵、
高蒔絵と研出蒔絵の併用であり、高蒔絵の上から漆を塗り重ね、平らな面と盛り上げた面を高低に沿って同一面上に研ぎ出す-肉合研出蒔絵(ししあいとぎだしまきえ)等。

乾漆(かんしつ)木や粘土石膏などの型の上から、漆(木の粉や焼土を混ぜる場合もある)と麻布を貼り重ね形を整えて、漆塗で仕上げて像を作る手法。
技法そのものは正倉院宝物の中にも見られるが、奈良時代から仏像の制作に取り入れられ発達した。
型の上から漆で麻布を貼り、その型を抜いてしまい、漆塗で仕上げる方法を-脱乾漆(だつかんしつ)といい、軽い造形作品ができる。
一方、木の型を抜かずに仕上げる方法を-木芯乾漆(もくしんかんしつ)といい、この方法を用いて、立体的な抽象造形作品を制作している。
髙橋節郎氏は漆芸の装飾手法を自由な発想からフルに活用た作品を残している。
人となり経歴は省力するが 素晴らしい 日本の工芸美術である。

中部国際空港 セントレアの陶壁画「天空翔翔」も髙橋節郎氏の作品です。

0 件のコメント:

Blog Archives