2008年9月21日日曜日

工芸雑感 1 (文化としての工芸)

プロローグ
40年近く工芸にかかわって暮らしてきた、改めて工芸とは、と開き直ったところでの雑感、勝手解釈と思い込みを含めた文化としての工芸と言う私的所見である事を最初にお断り。

工芸 民族性と宗教
我々が日常使用している様々な物品(財)は、その民族の文化や国民性、地理的条件等に支えられ発展。
その国民性や民族性は必然から生まれ、又なじんできた、宗教やモラル道徳が底辺に存在。
日本の場合は 原始宗教、神道、初期仏教、儒教などの基幹思想がベースになり醸熟。
後天的価値観として キリスト教、イスラム教などの価値観も加味され発展。

四季の国日本 春には芽吹き、夏に育ち秋に収穫、アリのごとく冬は耐え、芽吹きの新しい春を待つ、日本人はこのようなライフスタイルを古来より保ち続けてきた農耕の民をご先祖様に持つ。
そこには狩猟民族や牧畜民とは異なった要素の道徳観や価値観が育まれたと推測される。
収穫された食料等がやや不作で集落全体の必要量が不安な場合でも次の収穫期まで互助の精神で必要最小限にセーブすれば全員の生命を守り育む事が可能、いわば異型の保障制度文化ともいえる。
生命保険の起源として巷間伝えられている、17世紀イギリスのセントポール寺院の牧師たちが葬式代をまかなうために、お互いに積立金を出し合い作られたといわれる制度、又は、古代ローマ時代までさかのぼる「コルレーギア」という組織は、組合員の経済的困窮を助け合うために生まれた制度、死後の埋葬費用や遺族の生活保障を行うもの、など諸説の上位に位置するシステムかと。
すでに現代のインシュアランスやアシュアランス制度わが太古のご先祖様は具現化済み。
更に四季の移ろいがもたらす細やかな情感や価値観は、後世の華道、茶道、相撲道等日本独特の価値観をもたらし、道(精神性重視)に発展する大きなファクターとなる。
色の種類と名称を見てみよう 学校教育で習う赤、青, 黒 クレパスの色等は単純明瞭な呼称で表現できる数である。日本の伝統色を参照
ちなみに後述予定の 染めのところで記述予定であるが 例えば 藍色の表現として はなだ つゆくさ 藍 群青etcで20数色に分類され、実にきめ細やかなやさしさを伝えきる表現である。
日本文化、日本の価値観の底流はこうして構築され特に意識の埒外で必然化されてきた。
上記の基本概念を踏まえ次章以降は次回に。

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